「正確なカウンターパンチ」井岡一翔⑩「日本ボクシング専門ブログ：聖龍拳」

四階級制覇王者。世界Ｓ・フライ級王座戦「vs.ホスベル・ペレス」「vs.フェルナンド・マルティネス（初戦・再戦）」を紹介します。「日本ボクシング専門ブログ：聖龍拳」

①井岡一翔 7R KO ホスベル・ペレス
（WBA世界スーパーフライ級タイトル戦、2023年）
（ダウンシーン）
5R：連打、右ストレートで２度、ペレスがダウン
7R：右ストレートでペレスがダウン
（感想：井岡がタイトル初防衛。ジョシュア・フランコとの再戦でWBA王者になった井岡。年末恒例の「大晦日戦」で初防衛戦。これまで30勝（15KO）2敗1分で、年齢は34。WBA６位の挑戦者ペレス（28歳）はベネズエラ出身で、20勝（18KO）3敗。ベネズエラ王座、WBAの地域王座を獲得してきたが、アルテム・ダラキアンのWBA世界フライ級王座に挑戦したときは判定負け。これが二度目の世界挑戦。東京・大田区総合体育館での一戦。互いにジャブ。構え方やパンチの打ち方が辰吉丈一郎に似ているペレス。左のガードをやや下げた構えから速いジャブ、接近して左右フック連打、ボディ打ち。時折斜め下からのアッパー気味フックも使う。井岡はスタイルを確立。ディフェンスしながらショートパンチでコンビネーション。右で相手のガードの隙を突き、1Rから左フックを当てる。接近戦。実に力強いフック連打、野球のオーバースローのような右フックを使うペレスだが、井岡がディフェンス＆正確なパンチ（特に左ボディ打ちが効果的）で優勢。5R、右カウンターが効いたペレスが連打でダウン。立ったが、右ストレートで二度目。7R、連打からの右ストレートでペレスがダウン。目を痛めたらしく、ヒザをキャンバスに着いたまま10カウントを聞いた。井岡が快勝。思い切りのいいパンチを打つ挑戦者を一蹴。挑戦者にはディフェンスの隙があったが、相変わらずの巧さで隙を突いた。）

②フェルナンド・マルティネス 12R 判定井岡一翔
（WBA・IBF世界スーパーフライ級王座統一戦、2024年7月）
（感想：マルティネスが王座統一。35歳になったWBA王者、井岡。32歳のIBF王者マルティネス（アルゼンチン）と統一戦。マルティネスは身長157cm。これまで全勝。WBCシルバー王座（スーパーフライ級）を獲得後、IBF世界スーパーフライ級王者ヘルウィン・アンカハスを判定で下し、世界王者に。これまで二度の防衛成功。両国国技館での一戦。似た構え方の二人。ブロックしながらジャブ、ストレート。実に思い切りのいいフックを打つマルティネス。右フックからの左フック。身長は低いが、その分、腕っぷしが強く、ゴツいパンチ。井岡はいつものようにディフェンスしながらショートパンチ。ワンツー、ボディへ右ストレート、左フックを飛ばす。しかし、打ち方が豪快なマルティネスの方が優勢に見えるうえに、井岡はブロックしているにもかかわらず横殴りのフック、アッパー気味のフックを打たれる。それでも攻める井岡。マルティネスは受け身になるシーンも見られるが、どうやら休みながら打つときは強打をまとめる作戦。マルティネスのパワーが目立つ展開で12R終了。判定は３－０。ジャッジの一人はフルマークでマルティネスを支持。井岡は強打者ではない。ショートパンチで隙を突くボクシング。マルティネスはアルゼンチンの選手らしいゴツいパンチの持ち主でタフ。かつての名選手サントス・ラシアルを思い出させるような豪快さで井岡を圧倒した。）

③フェルナンド・マルティネス 12R 判定井岡一翔
（WBA世界スーパーフライ級タイトル戦、2025年5月）
（ダウンシーン）
10R：左フックでマルティネスがダウン
（感想：マルティネスがタイトル防衛。前回の対戦で決着がついたと思われるが、なぜか再戦が行われることに（プロボクシングというのはそういう商売なのだろう）。因縁の再戦はダイレクト・リマッチ。マルティネスが井岡戦を優先するためIBF王座を返上。今回懸けられるのはWBA王座のみ。しかも、マルティネスがインフルエンザに感染したため、一度は試合延期。間を置いてのダイレクト・リマッチとなった。東京・大田区総合体育館での一戦。ガードを固めて前進するマルティネス。正確なジャブ、ショートフック。左フックをボディからアゴに連打するなど器用さを見せながら得意の左右フック。右フックからの左フックに迫力。井岡は受けに回り、隙を狙うパンチ（ジャブカウンター、左ボディ打ち）。互いにディフェンスしながらの打ち合い。マルティネスはパワー、井岡は当てる巧さ。10R、連打するマルティネスだが、疲れ。井岡がジャブ連打からの左フック。そして左フックでマルティネスがダウン。その後も中間距離での攻防。12R、マルティネスが左フックをヒットさせる。12R終了。判定は３－０。マルティネスが攻めの姿勢で勝利。ただ、一貫しない攻めで、スタミナを消耗した。井岡はボディ打ちに良さがあったが、マルティネスの前進を止められず。全盛期の鋭さ、パワーはもう無い。ただ、ダウンを奪ったシーンは素晴らしかった。試合後、現役続行の意向。やれるところまでやればいいのでは？）

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