「日本ボクシング専門ブログ:聖龍拳」

懐かし系の試合を中心に日本ボクシングを紹介するブログ。映像を見た感想を書いています。

「四団体王者」高山勝成②

放浪の王者。四団体の世界ミニマム級王座を獲得。奪回したIBF王座を懸けた「vs. ファーラン・サックリンJr」「vs. 原隆二」「vs. ホセ・アルグメド」を紹介します。「日本ボクシング専門ブログ:聖龍拳」

高山勝成 9R 負傷判定 ファーラン・サックリンJr
IBF世界ミニマム級タイトル戦、2015年)

(感想:高山がタイトル防衛。大平剛との決定戦でIBFWBO世界ミニマム級王座を獲得した高山。WBO王座を返上し、IBF王座の防衛戦。挑戦者はタイのファーラン。元WBA世界ミニマム級王者の宮崎亮をぶっ倒したことで日本でも知られている男。父は元IBF世界ミニフライ級(現:ミニマム級)王者。父親がかつて持っていたベルトを獲得することができるかどうか、といったところ。正統派のファーラン(かなりの「イケメン」でもある)。ガードしながらジャブ、右ストレート、左フックをキレイに打つ。高山は上体を忙しく動かしながらジャブ連打、右ストレート、接近して連打(いつものパターン)。変則的で細かいパンチを打つ高山、応戦するファーラン、といった展開。一発ずつパワーを込めるファーランは相手の手数に押され、ロープを背負うシーンが目立つ。9R、バッティングによるキズが悪化した高山が二度のドクターチェック。9Rまでの判定を取って、3-0で高山が防衛。高山が手数(特に右フック、左ボディ打ちが良かった印象)で勝利。9Rのドクターストップの時にファーラン陣営は勝ったと思ったのか、ファーランを肩車。キズがバッティングによるものでも、その後パンチでキズが悪化したらTKOになる場合もあるが、この試合ではそうはならなかった。)

高山勝成 8R TKO 原隆二
IBF世界ミニマム級タイトル戦、2015年)

(感想:高山がタイトル防衛。挑戦者の原はアマチュア時代に実績があった男。「大橋ジム」(井上尚弥が所属)からプロデビュー。連戦連勝。ミニマム級で新人王。日本ミニマム級王座、東洋太平洋ミニマム級王座をそれぞれ決定戦で獲得。しかし、東洋王座防衛戦で戦った相手が悪かった。田中恒成。後にWBOで世界三階級制覇する男。田中に敗れてしまったが、高山の王座に挑戦するチャンスを得た。共にガードを上げてジャブ、右フック。体格と使う武器が似ている両者。しかし、テンポ良く連打する高山に対し、原は一発ずつパワーを込めた打ち方。互いにディフェンスし、ガードの隙を狙う。2R、原が頭から突っ込むバッティング。大きなパンチが当たらない原、細かく当てる高山。6R、高山のグローブのテープがはがれて中断。その時、高山のキズをぬぐうセコンド(これは許されるのだろうか? レフェリーの指示は「テープの巻き直し」。「キズの手当」はインターバルにやるものであり、それは指示していなかったように見えた)。しかし、その6Rから試合の流れは高山に。連打を浴びて劣勢になる原。8Rにレフェリーストップ。高山が細かいが「当てるパンチ」で快勝。左右フック、ボディ打ちが効果的だった。気になるのが高山のキズ。試合のたびに出血。細かい連打で忙しく出入りするスタイルだから頭が当たるのだろうが、ラウンド開始時点でキズの手当(止血)ができていない(ように見える)のは問題のような気がする。)

ホセ・アルグメド 9R 負傷判定 高山勝成
IBF世界ミニマム級タイトル戦、2015年)

(感想:アルグメドがタイトル獲得。メキシカンのアルグメド。これまで15勝(10KO)3敗。メキシコのライトフライ級王座を獲得したことがあるが、カルロス・ベラルデ(宮崎亮のWBA世界ミニマム級王座に挑戦してKO負け)とIBFの地域王座を争った試合では2-1の判定で敗れている。高山は30勝(12KO)7敗1ノーコンテスト。これが奪回したIBF王座の三度目の防衛戦。いつものようにジャブを連打し、ワンツーを打つ高山。アルグメドは変則的。辰吉丈一郎と戦ったビクトル・ラバナレスのように一発を狙うかのような大きな右ストレート、振りの大きい左フック。打った後、バランスを崩すところもラバナレスに似ている。2R、高山がバッティングで負傷。大きなパンチを振るうアルグメド。意外に当てるのが巧く、ジャブ、左フックといった左のパンチがヒットする。4R、高山がドクターチェック。7R以降、振り回すパンチでさすがに疲れたか、アルグメドが高山の連打で受け身の姿勢に。9R、高山がドクターチェック。9R終了後に負傷判定を取り、アルグメドが新王者に。前半の精力的な攻めで、アルグメドがポイントをリードし、逃げ切った形。高山としては相手の勢いが落ちてきたところでストップとなり、悔しい敗戦となった。その後、高山は加納陸との王座決定戦でWBO世界ミニマム級王座奪回。東京オリンピックを目指してアマチュアで試合をしたが、オリンピック出場ならず。プロにカムバックしてアメリカでエルウィン・ソトの持つWBO世界ライトフライ級に挑戦してTKO負け(2021年5月8日)。これが最後の試合になるのだろうか?

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